遠山の金さん 71〜81話

二軒茶屋中村楼キャスト
金さん(北町奉行遠山左衛門尉景元)/杉良太郎
お京(密偵)/水沢アキ(-81話)
秀駒(芸者)/二宮さよ子
甚兵衛(蕎麦屋・長命庵主人)/村田正雄
赤目玄蕃(南町同心)/岸辺シロー
花川戸の新八(赤目付岡っ引)/植田峻
青木紋十郎(北町筆頭与力)/伊東四朗


第71話「女騒動!うわなり打ち」1977.2.17

 別れてすぐ若い女房を貰った亭主が許せない辰巳芸者は、公事師の提案でうわなり打ちに。しかしそのあと亭主が死んで大騒ぎ、裏には芸者のあずかり知らぬ、亭主が仕出かしたとんだ事件が隠れていた。

*ロケなしセット撮り。芸者は北川めぐみ、亭主は楠年明、父が殺された証拠をつかむため嫁いだ後妻に有吉ひとみ、公事師は砂塚英夫でお白州でも理屈を言い募る。


第72話「罠にすがった女」1977.2.24

 火盗与力の色欲のため操られる恋人たち、もちろん桜吹雪が危機を救うのだが、二人の「傷」も強弁して救済。

ロケ地
・火盗改与力・工藤が両国の福島屋から帰る道、大覚寺放生池堤護摩堂(縁下に寄場を脱走してきた平四郎が隠れて見ている)
・金さんが平四郎の名で福島屋の若後家・お直を呼び出す稲荷堂、大覚寺五社明神舞殿に扉あしらい。
・お直の回想、嫁入り前平四郎と最後に話した水辺、広沢池東岸
*平四郎は高橋長英、お直は鮎川いずみ。火盗改与力は入川保則、配下の岡っ引は西沢利明。


第73話「玉の輿を拒んだ女」1977.3.3

 玉の輿の縁談に気乗りせぬ娘は、何度も奉行所の厄介になっている男を気にかける。二人は結ばれるのだが、驚きの男の出自や、母子二人きりの筈の娘の父が出てきて欲をかくやら大騒動。女手一つで娘を育て上げ、ただ幸福を願う母が哀れ。

ロケ地
・娘の母に詰られ飛び出していった伊之助を探すおさき、大覚寺護摩堂〜五社明神〜大沢池畔(茶店あしらい)
*おさきは伊藤咲子、伊之助は酒井修。母は谷口香、彼女を騙して捨てた元ヤクザの質屋に田口計・京屋乗っ取りが挫折するや土蔵破りに転じた挙句犯行を見た「昔の女」を刺す極悪人←市中引き回しのうえ磔。*実は京屋の若旦那で養子の弟を不憫に思い家を出た伊之助、おさきと幼馴染設定はちょっとギモン。


第74話「団子坂しぐれて候」1977.3.10 7

 なぜか息子を弟と称して暮らす団子屋の女将、裏には悲しい過去。お家大事の武家の自儘が哀れな女を押し潰すのを、桜吹雪が鮮やかに阻む。

ロケ地
・おかめ団子、楼門は八坂神社南楼門で店は二軒茶屋
・お白州開廷の前フリに大覚寺宸殿
*おかめ団子の女将・おもんは中村玉緒。女中だった彼女に無体を働き今度は息子を取り上げようとする旗本の婿養子に穂積隆信。そんな子を連れて来られては困る権高な家つき娘は町田祥子。*団子坂とタイトルにあるがロケでは坂は出てこず、設定は「深川」と金さんの口から。従って千駄木のそれではない模様。


第75話「はるかな江戸の便り」1977.3.17 7

 江戸で医者になると出羽を出た青年から届く、金の無心の手紙。金を届けに行った番頭は失踪、賭場で顔役を気取る「若旦那」と呼ばれる兄ィ、ぽっと出の田舎者が堕ちたものと誰しも思うが、有為の青年が語った決意をとんだ金蔓にしてのける悪党が闇に潜んでいた。

ロケ地
・番頭が金を届けに行く梅の木屋敷、嵐山公園料亭・(内部はセットで荒れ屋敷)
*番頭とともにやって来た、若旦那を慕う娘は岡まゆみ。賭場の若旦那は松橋登、ヤクザの親分は藤尾純で賭場を仕切るのは小田部通麿。真面目に医生として頑張っていた「若旦那」は石田信之。結束信二脚本、お白州まで事実は暗示のみの展開が面白い。


第76話「誘拐身代二千両」1977.3.24

 大店の娘を狙った誘拐犯は過って女中をさらうが、主は逡巡のすえ身代金を支払い店はお仕舞。これを義侠と褒め称える瓦版が出て、そも誘拐はライバル店の仕業と書き立てるから、町衆はどっと一方向へ。しかし、金さんはひとり事態を怪しんでいた。

ロケ地
・敷島屋の娘と女中が手古舞の帰り襲われる裏道、大覚寺放生池堤(遠景に心経宝塔)
・女中のお波のほうを「さらってしまった」一味が彼女を屋形船に乗せ替える大川端、桂川松尾橋下手右岸汀(身代金を乗せて犯人の指示通りぐるぐる回る駕籠のくだり、見張りの金さんが釣りをしているのも同所)
・お白州開廷前に大覚寺宸殿(バンク映像)
*敷島屋主は御木本伸介、キャストから末が判ってしまう。女中は紅景子、主の企みに加担するも心を痛めるお波の恋人の手代に小野進也、智恵をつけた浪人は山本麟一←お白州では逆らって斬りかかり。。浪人に雇われあっさり始末されるチンピラに峰蘭太郎や波多野博。*お白州シーン、上からクレーンショットあり。


第77話「北の海から来た男」1977.3.31

 一昔前の海難事故の真相があらわとなる話、海の男として許されざる行為をはたらいた者どもの秘事が暴かれる。粗暴だが気のいい船乗りの青年と知己を得ていた金さんは、降りかかる災難から彼を守り真実に迫ってゆく。

ロケ地
・長命庵で金さんと喧嘩したあと呑んだ帰りの太平次が、江差の網元殺し犯人と赤目に迫られ逃げ出す神社、吉田神社竹中稲荷本殿前。太平次の恋人に彼のことを聞き込むお京は舞殿。
*太平次は工藤堅太郎、恋人は松本聖、海難事故で孤児となった彼らを引き取った回船問屋は多々良純。お白州で奉行に斬りかかる松前藩勘定奉行を取り押える役人に福ちゃん。*「すごき結びで吊り」の映像化が大笑い。


第78話「怨念の刃がとんだ」1977.4.14 7

 三軒組んでのことと見えた材木商の悪のギルド、しかしマジで悪いのは一匹。これに唆された、かつて父をハメられ殺された青年が二度目の殺人を仕出かすのを止めに、桜吹雪登場。

ロケ地
・会津屋の娘が手妻遣いの総吉を呼び出し店に入ってくれと懇願する八幡さま、赤山禅院池畔(背景に本殿の玉垣)
・父・三国屋の墓に参る総吉、黒谷墓地(和泉屋が来て親切面で接し、三国屋をハメたのは木曽屋と吹き込み)
・「材木置場」も出るが丸太しか映っておらず特定不能。
*総吉は佐々木剛、恋仲の会津屋の娘は森川千恵子。悪役陣、谷口完、木村元、須藤健。木場で総吉を襲う五人組のヘッドに福ちゃん、労いの酒に毒仕込まれててうぐぐ→大川(劇中呼称はヤス)。*総吉の得物はブーメラン、一人殺っちゃってる件は「かまいたち」で済ますお奉行。


第79話「巡礼お勝参上」1977.4.21

 更生して市井に暮らす元女賊、かつての自分と同じ手口で凶行を働く者が出たことから、鮮やかな本格のお盗めを見せつける。しかしその行為から、昔仲間の凶賊に存在を知られてしまうのだった。

ロケ地
・元「巡礼お勝」のおたかが昔のおかしらに呼び出される神社、鳥居本八幡宮(石段〜舞、今ばたらきの「凶賊」の手下が二人を隙見している)
・巡礼お勝に2パターンと書きたてた瓦版を読みながら歩くお勝を呼び止める金さん、大覚寺五社明神(おかしらが凶賊にさらわれたことで道を急ぐ場面も同所)
*おたかは真木洋子、喧嘩するほど仲のいい店の板前は河原崎建三で、後におかしらの倅と知れる(堅気)。おかしらは吉田義夫で盗った金を返そうとしておりおたかに協力依頼。凶賊のかしらは小林昭二、見張りのおでん屋や料亭の主等の顔を持つ。その手下の元亭主は宮口二朗、他配下に井上茂、ラス立ち福ちゃん入り。


第80話「八丁堀佐渡情話」1977.4.28

 北町同心の新妻が見た殺し、犯人の顔は忘れもせぬ遠き日に別れた父のもの。彼女は婚家を出奔するが、全てを呑み込んだお奉行の采配で元の鞘に。

ロケ地
・佐渡を御赦免になった弥七が娘へ土産の人形を見る江戸へ八里の道、不明。
・使いに出たおなかが岡っ引殺しを目撃する八丁堀稲荷近くの夜道、相国寺鐘楼裏手(碑の脇に井戸あしらい、斬られた岡っ引がドボンの趣向)
・弥七が隠れているお堂、不明(ここから扉越しに見る外に池、西方寺か。お堂はセット)
・弥七の墓、招善寺墓地
*おなかは上原ゆかり、夫の北町同心は青木良彦、養母の船宿女将は白木万理。無宿人狩りで私腹を肥やしていた火盗の旦那は田中浩。無宿人仲間を見捨てて置けず火盗に討ち込み凶弾に斃れる綾瀬の弥七は大木実。


第81話「お京・合掌!」1977.5.5 7

 子供預かりの婆さんが裏で仕出かす人身売買、一味を見張るお京の脳裏に呼び覚まされる遠い記憶。お白州で年を理由にシラを切る婆さんだが、毒を盛られつつも尚慕い寄るお京に陥落。

ロケ地
・お仙が加賀の追っ手に囲まれる市中、相国寺境内か。
・葛籠を背負って出た熊五郎をつけるお京、相国寺方丈塀際
・熊五郎が逃げ込む旗本・戸田左京邸、相国寺大光明寺門。病を発しキャンセルされた子を葛籠に入れて出てくるのは通用門。
*おさく婆さんは本間文子、熊五郎は曽根晴美。新顔のお仙は加賀前田家・伊賀者組頭の娘で、役目を嫌い出奔。お京の危機に忍者スタイルで現れる。*白州でお京に死なれてしまったお奉行、裁可のあとは尺をとって泣き芝居。「これにて一件落着」のつっかえ加減が哀切。


遠山の金さん 表紙


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ