時代劇ロケ地探訪  平の沢池


 池尻の大池三つは、古くは平野沢と呼ばれた。現在は麓に池尻天満宮の鎮まる呉弥山を巻くように続いてある、上中下三つの池である。中池と下池はほぼつながっているが、堤で仕切られている。この堤がロケに使われる。
池端は「水鳥の道」として整備され、散策路や休憩用のデッキなどが設けられている。オニバス自生地としても知られる。冬には多数の渡りのカモが入り、時折カワセミの姿も見られる。堤は春、タンポポの黄色に縁取られたいへん美しい。

平の沢池 中池と下池境の堤
左/下池側から側面(冬)、右/堤上から東望(春)

 ここは必殺10周年記念スペシャル・必殺仕事人大集合で、旅ゆく中村家のくだりで使われた。設定は蒲原宿を発ったあとの東海道筋、中村主水は長崎奉行所に転勤という話で、その旅程である。蒲原宿で、主水は男に金を持ち逃げされてぼろぼろの乞食姿の加代と出会うのだが渡してやったのは小銭、加代は主水を追って来て自分も長崎へ行くと縋る、その街道がここ。まず、せんとりつが先に立ってせかせか歩き主水がとぼとぼついて行くさまが、上写真左の側面から堤を見るアングルで映し出され、加代が追い縋ってくる段では上右写真の堤中ほどから東を見るショットに切り替わる。現在とは中堤の草深さや、池の護岸が少し違う。
具体的に東海道のどこを指すのかは判りにくい。それというのも、この直後画面は海浜に切り替わり「舞阪」とテロップが出るのである。…蒲原から舞阪ではずいぶんとあり、清水湊から安倍川に大井川、天竜川まで越えてしまうので、どう考えてよいやら皆目見当もつかない。しかし両側が水面のこの堤、なかなかに旅の情緒は醸し出している。また、このシーンでは鮎川いずみの歌う「冬の花」が鳴り響くのである…加代はずたぼろの歩き巫女だが。

亀岡市馬路町池尻


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